ねているときいがいねむい

ねているとき いがい ねむい

人には人の乳酸菌

2023年3月のこと

桜が咲くのが早い。今年は全国的に開花が早く、軒並み観測史上最早を記録しているそうだ。「桜の写真は誰が撮っても桜」とはよく言うけれど、SNSにあがる桜の写真を見るのが好きだ。みんな嬉しそうなのが良いし、一気にぶわっと咲くので景気が良い。昼でも夜でも桜はなんか、光ってるような気がする。

こちらの開花はもう少し先になりそうです。先々週から北海道民になりました。一番最初に配属されたのが横浜で、次が東京、宮城と北上して、とうとう北海道にまで辿り着いた。桜前線のような動きをしているな…と我ながら笑ってしまうが、全く希望していない地への異動なので、正直あまり晴れやかな気持ちではない。

 

仙台ステーションの裏側

 

部屋探しはすべてウェブ上で済ませた。オンライン内見でいくつか物件を見て、Googleマップで周辺の環境を調べ、あとはもう勘で決めた。これが引っ越し8回目の所業でございます。投げやりに選んだ割には良い物件に当たったと思う。今までと同じ家賃で部屋が1つ増え、セキュリティや防音性などのグレードがワンランクUPした。

引っ越し先は坂の多い街で、新しい部屋も坂の上にある。坂というか丘というか、もはや小高い山である。人生 ~試される大地編~、ついに天上人になりました。下界におりる道はどれもアップダウンが激しく、傾斜が20度を超える坂もある。勾配ニキ!Googleマップを頼りに近所のコンビニを目指す道中、高さ2m程の巨大な雪塊に行く手を阻まれ、行き止まりになっている道があった。看板によると11月頃から4月中旬までは通行禁止になるそうだ。ふ〜ん、なるほどね。RPG序盤のシステムじゃん。

赴任地での初出勤日、PC関連のセットアップをしていると部長が隣にやってきて、冬期通行止めになる道や野菜が安い青果店の情報などを教えてくれた。そのほか「カラスが巣作りをしている場所の近くを歩くと襲われる」とか「冬場2〜3日家を空けるときは水落しが必要」といった暮らしのアドバイスを受けた。部長がその数日後には転勤でいなくなることも含めて、RPGチュートリアルだった。最初しか出てこないオーキド博士


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仙台メディアテーク(受付で申告すれば館内撮影可)


2週間出勤してみての感想、な〜んか全然だめ。具体的に何がっていうか、全部。パリッとしない。職場の雰囲気は穏やかでみんな良い人なんだけど、端的に言って面白くない。悪口。赴任してすぐにランチ会があったんだけど、表面だけの会話に愛想笑いしかできなくて表情筋が痙攣しそうだった。そもそも自分がランチ会とか女子会みたいな和気藹々とした会食が苦手というのもあって、「無の話」をしているな〜と思いながら黙々とハンバーグを頬張った。

前の職場の飲み会では仕事の話はほとんどしてなくて、ずっと「ない話」をしてゲラゲラ笑っていた。「無の話」と「ない話」は似ているようで全く別物なのである。前の職場の送別会では私をイメージした短歌を一人一人書いてくれて、わ、泣いちゃう!と思ったけれど、短歌のルールを無視したHIPHOPなリリックを書いてくれた人や、「本人登場…!」とだけ書かれたカードをくれた人もいて、結局最後までゲラゲラ笑ってた。何のこっちゃ意味がわからないだろうけど、私はわかるから良いのです。

最終出勤日には後輩からカヌレをもらった。透明な袋の中にカヌレが見えたので、思わず「カヌレ!」と声をあげたら「そっちの紙袋にもカヌレ2つ入ってます」と教えてくれた。泥カヌレを経ての3カヌレ。もう一人の後輩はTシャツをくれた。その少し前の出張で、後輩がTシャツを物色してたから「買うの?」と聞いたら「買うわけ…」と返ってきたので、お、反抗期!と思って笑っちゃったんだけど、私のTシャツを選んでくれてたんだね。変なTシャツをくれたのにもストーリーがあって、去年の夏、出張期間中の遊びとして「Tシャツ選手権」を開催していたという流れを汲んでのチョイスだったので、そういうのを思い出して余計に嬉しかった。

着任から数日して、つまんねぇ〜と思いながら仕事していたら、前の後輩からメールの文末で「全然話変わりますけど桜餅の葉っぱって食べますか?」と質問された。本当に全然話変わっててウケた。私は食べないと答えたら、絶対食べない派だと思ってました!と返ってきた。向こうでは後輩以外全員食べる派で肩身が狭かったらしく、仲間がいて嬉しいです!とのことだった。マジでさぁ〜私はこういうどうでも良い話ばっかりしてたいよ。前の職場が最高だったから未だに未練たらたらです。

この仕事も10年目ともなると「今年は人事ガチャ失敗です!」で済むけれど、1年目でいきなりポンと配属された新人の子にとってはここがすべてなわけで、それはあまりに可愛そうだから、その辺はもうちょっと気にかけていきたい。今の職場は平均年齢が鬼高く、33歳の私ですら2番目に若い。

 

見た映画とか

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

監督:ダニエル・クワンダニエル・シャイナート

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アカデミー賞最多7部門受賞の話題作で、あろうことか居眠りをしてしまう。起きたら石のシーンで、全然意味がわからなかった。途中まで面白かったのに寝てしまったので、もう一回見に行った方が良いですか…?

 

『14歳の栞』監督:竹林亮
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とある中学校の3学期、2年6組に在籍する生徒35人全員に密着した青春リアリティ。

「14歳はもう遅いっす」という言葉がすごく印象に残ったのは「14歳は遅くない」と言えるからであって、14歳は可能性に満ちあふれている。部活に打ち込んだり恋に悩んだり、斜に構えてクラスメイトと一線を引いたりする姿すらも眩しかった。

今後配信やパッケージ化を予定していないそうなので映画館で見れる人は絶対に見てほしい作品です。

 

聞いてた音楽とか


父と娘の風景|相鉄新横浜線・東急新横浜線の開業記念ムービー

改めて『タイムマシーンにのって』の歌詞にぐっときて泣いてしまった。

 

父の病気が思っていたより進行していたことについて、もっと早く気付いていたら…とか、もっと実家に帰ってれば良かったとか、今になって後悔ばかりが募る。けれどもそれを口にするのは父と一緒に暮らしていた母や兄を苦しめることになるので何も言えないし、言う必要もない。現実はブラッシュアップライフのようにやり直すことができない。最近は気を抜くとすぐ涙腺が緩んでしまう。

家族にも友達にも会えなくて、そこまで好きでもない仕事のために全国を転々とする人生って何なんだろう…と考え込んでしまう。暗い気持ちになってしまって良くないな。今日は引っ越しで枯れてしまった観葉植物を復活させるべくホームセンターで土と肥料を買ってきた。新芽が出てくる気配はあるのでなんとか元気になってもらいたい。