朝晩は冷え込む季節になったけど未だによれよれのTシャツを半ズボンにインして寝ている。既に暖房をつけているという後輩に「いつになったら暖房つけますか」と聞かれたので「12月5日」と答えた。12月5日に深い意味はない。
最近はカーシェア会員になったので行動範囲が一気に広がった。早起きして仙石線に乗り、うとうとしてる間に終点の石巻駅に着く。近くのタイムズで車を借りる。店舗で同意書にサインしたり免許証のコピーを取られたり車の傷をチェックしたり…というような煩わしい手続きをすっ飛ばして予約車に直行し、窓にカードをかざすだけでドアが開く。鍵は助手席のボックスの中。エンジンをかければ車が走る。便利過ぎ。
毎月基本料金がかかるので全く乗らない月は損したり、長時間借りる場合は普通のレンタカーの方が安かったり、それなりにメリデメはあって、その辺については今度別記事で書きたいと思っている。
石巻から車で40分。漁港の奥に車を駐めて、そこからさらに歩いていくと突如大きな鹿が姿を見せる。
CONCEPT 鹿は古来から「神使」や「神獣」として、アニミズムや神道などの信仰のなかで親しまれて来た。近年、日本では鹿が増え続けており、人里に時々現れる鹿は、「迷い鹿」と呼ばれる。 White Deer (Oshika) はインターネット上に現れた「迷い鹿」(鹿の剥製)を取り寄せ、3Dスキャンして得たデータを元に制作された。牡鹿半島・荻浜に立つその姿は遠くの空を見上げ、旅の原点である瀬戸内海・犬島の方を向いている。
周りに遮るものが何もないせいか、光を浴びた鹿はうらうらと波打つように発光していた。辺鄙な場所にいることが価値になっている好事例。
翌週は仙台駅から新幹線に乗り、一駅先の古川で降りた。乗車時間13分、片道1650円の旅。ある意味大人の休日倶楽部。現地のタイムズで車を借りて、周辺を適当にドライブした。
以前からGoogle Mapでピン留めしていた場所を訪れる。
【ロブスター】
ナポリタン600円/メロンミルク350円
もちもちの丸麺に程良い酸味のトマトソース。まろやか〜な味。これが乳化か。ラジオから古い曲が流れていた。「お送りしたのは稲垣潤一で『マラソンレース』でした」次のリクエスト曲はBoAの『七色の明日〜brand new beat〜』懐かしい〜この曲好きだったなあ
自分以外無客。恰幅の良いマスターは奥の客席に腰掛けて新聞を読んでいた。振り子時計がカチカチと時間を刻む店内で1時間くらい読書した。
車で山道を走っていると「ゴミを捨てるな!」とか「誰かが見ている」とか「拾うのは誰?」みたいな看板を目にすることがよくあって、捨ててもないのに先回りして怒られる。
Youtubeで筋トレ動画を見ていると「ぷるぷるしない!」とか「腰浮かせない!」みたいな喝が飛んでくる。別にぷるぷるしとらんが。
500グラムのヨーグルトの蓋を開けた瞬間に、目に飛び込んできた注意書きから「乳清を捨てないでください!」と怒られる。乳清が無害なのは知ったうえで捨てているにもかかわらず。
トイレによくある張り紙「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」に至っては怒られ事案ではないにしろ、先手の先手を打たれてる感があって何か嫌だ。
先回りの怒られは日常の中に潜んでいる。何もしてないのに怒らないでください。
この黄色い花はセイタカアワダチソウといいブタクサとは別物なので花粉症と関係ないらしいという話を後輩にしたら、「泡立つんですかね?」と聞かれたので、泡立ちはしないんじゃない?と適当なことを答えた。
車を運転していると道端のいたるところにセイタカアワダチソウが生えている。後輩は「意識してみるとセイタカアワダチソウだらけじゃないですか」と新鮮に驚いていた。いや、そうなんだよ本当に。見渡す限りセイタカアワダチソウ。私が後輩に伝えたいことって多分「仕事とは」とか「働くとは」みたいな仰々しいことではなくて、セイタカアワダチソウが近年めっちゃ増えたとか、ポテトと唐揚げで迷ったらどっちも頼めばいいとか、そういうどうでも良いことで、10年くらい経って後輩に後輩ができたとき「そういえば昔、変なことばっか教えてくる先輩がいたな〜」みたいなことを思い出してもらえたら、くだらない雑談も少しは意味があったんじゃないかなとか思う。
10月は斜めの先輩と直属の後輩と3人で飲みに行くことが多く、一気に距離感が縮まった。後輩が財布をなくしたり、私が終電を逃したり、相変わらず大学生みたいな飲み方してんな〜とは思う。休みの日にわざわざ職場の人と遊んだりレンタカーでドライブしたり、この数年ですっかり地方の生活に染まってしまった気もするが、そこに自分を卑下する感覚はもうなくて、最近はそれが私だよな…と事実として受け止め楽しくやっている。人生はRPGで、今はそういう章にいる。
読んでた本とか漫画とか
『ずっと、おしまいの地』こだま
おしまいの地シリーズ完結編。2021年12月24日の日記『ユーモアに首を絞められる』が特に好きで、その章を繰り返し何度も読んだ。自分の話になってしまうのだけど、自分も昔のブログの文体は必要以上に自虐的に書いていたり、つらかったはずのことをおもしろおかしく書こうとしている感じがあって、無理しているつもりはなかったけれど今読み直すと少し恥ずかしい。こだまさんはご自身の文体の変遷を自覚しつつも「悲しいなら悲しいままでいい」「淡々とありのままを書く」と受け入れているのがすごい、強いなと思った。こだまさんの書く文章が大好きなので、あとがきにこれからも書くことを続けていくと力強い宣言が記してあってとても嬉しかった。
『オールアラウンドユー』木下龍也
『情熱大陸』で作者の木下龍也さんがボクシングをされているのを見てなんだか急に興味が沸いて、はじめて短歌の本を買った。自分はこれまで短歌や詩になんとなく苦手意識があって触れる機会が少なかったけど、収録された短歌は無機物に視点を置いたものが意外に多く、感情的なものに偏っていないのが新鮮だったし面白かった。一冊目に読む短歌の本がこの本だったのはとてもラッキーだったのかもしれない。
『ひらやすみ (4)』真造圭伍
『センチメンタル無反応 真造圭伍短編集』
結構なハイペースで新刊が読めて嬉しい。
見た映画とか
『LAMB/ラム』
監督:ヴァルディミール・ヨハンソン
全編通してよくわからなかった。途中うとうとしてて銃声で飛び起きた。
『裸足で鳴らしてみせろ』
監督:工藤梨穂
す〜〜〜ごい良かった。言葉にすると陳腐になってしまいそうで感想が難しい。鼻をすする癖とか、サンダルの足音がぺたぺたするのとか、登場人物が映画の中のキャラクターの枠を飛び越えて、ちゃんとそこに息づいている感じがした。ラストの車が並走するシーンで、ああやっぱ、すげぇ口を大きく開けて笑ってらぁと思って、それが何というわけでもないんだけれど、変わっていくこと・変わらないことが嬉しくて切なくてボロボロ泣いてしまった。
『もっと超越したところへ。』
監督:山岸聖太/脚本・原作:根本宗子
途中までは笑いを堪えながら見てたけど、終盤の超展開についていけなかった。なんかもやもやするとかノットフォーミーという感触よりもっと強烈に、私は全然好きじゃなかった。千葉雄大さんの演じる役が「クズ男」に分類されてしまう乱暴さ。言い争いのシーンは思い出しただけで心がズタズタになる。一人くらい「お米くらい自分で持つわ」という登場人物がいたら違ったかもしれない。
『RRR』
監督:S・S・ラージャマウリ
最高過ぎてエンドロールで爆泣きした。
聞いてた音楽とか
フックのメロディ聞いた瞬間『WHY』だ!ってなったし「365日があっという間に過ぎる」のフロウが『楽園ベイベー』の「365日が夏休み」なんだよな〜 https://t.co/HcUVu6T2bR
— GAMEBOYZ (@10x10mm) 2022年10月12日
実際にPESが『WHY』を意識してつくったのか真偽のほどは置いといて、5人のリップスライムのファンとしてはそうであってほしいという望みがある。
『Chillin'』PES
『WHY』RIP SLYME
最後に他人事ではありますが、第1回一般女性1万字インタビューを受けてくれたA子さん(33)が、かねてよりお付き合いされていた一般男性(33)と入籍しましたことをご報告いたします。4年前のインタビューで、安定している元素は化学反応を起こしにくいことから「私は希ガス」と話していたA子さんが、信頼できるパートナーと入籍されたことを、他人事としてとても嬉しく思っています。大切な友達の幸せを祝福するにあたり、本来は自分のことのように喜ぶのが正しい姿なのかもしれませんが、私は恋愛に関しても、二人がこれまで築いてきた関係性についても全部を知っているわけではないので、やはり「自分のことのように嬉しい」と表現するのは不適切にあたると思うのです。人が積み上げてきたものを「自分のことのように」とか、人のブログを読んで「俺かと思った」とか言うのって、一瞬で他人のアイデンティティを奪う行為だからダメだよ!って私は思っているのだけど、それは今回の話とは関係のないことなので、また今度。
回りくどい表現を挟んでしまいましたが率直に言ってとってもとってもおめでとう!!!つかめよBIG LOVE!!!!って、そんな気持ちです。元気になったらお祝い持って会いに行くね。
11月は「良い◯◯の日」が毎日のようにあって良い。明日は良い歯の日。