ねているときいがいねむい

ねているとき いがい ねむい

人には人の乳酸菌

2023年10月のこと

夏の猛暑の影響で、こちらでは10月下旬頃から雪虫が大量発生している。雪虫は初雪の降る少し前に出現することから、冬の訪れを告げる風物詩になっている(Wikipedia)。白くてふわふわ舞うのでそこまで不快な感じはしないが、流石に多い。雪虫が口に入ってくるのを防ぐためにマスクをしているといっても過言ではない。その辺の虫や花の名前をさらっと知ってるおばさんになりたいと思っている。将来的にはちびまる子ちゃんの佐々木のじいさんになりたいのかもしれない。

 

そこそこ長期での稚内出張。特急サロベツに乗って北上し、駅に着いて一番に思ったのは「桃鉄〜!」だった。稚内が日本最北端の駅であることは、学校の教科書より先に桃太郎電鉄が教えてくれた。頭の中では目的地到着のBGMが流れている。

住民は大歓迎ですぞ!

今回は他部署の業務の運転要員だったため、かなりのイージーミッションだった。現地で借りたレンタカーで走る道は左手にオーシャンビュー、右手には広大な牧草地が広がっている。風車が何本も建ち並んでおり、近くで見ると笑ってしまうほどデカかった。海沿いの風車を見ると良い景色だな〜と思うけど、景観保護や環境問題、騒音などの観点から周辺住民による反対は強いと聞く。どこまでも続く一本道に後輩が「土地エグいっすね」と言った。「エグい」はうちら世代はあまり使わない表現だなあと思う。若者が若者言葉を使っているのを聞くとなぜか嬉しい。


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公園や駐車場やその辺の路肩に普通に鹿がいた。鹿は割とよく目があう。これは私だけが思っていることかと思ったら、道内出身者も鹿は割とよく目があうと言っていた。鹿をじっと見つめるとき、鹿もまたこちらを見つめているのだ。いにしえのインターネットから得た情報では、鹿の鳴き声は「ミーフーン」とされていたが、実際には名探偵コナンの扉の開閉音のような「ギィィィィ」という鳴き声だった。

岬の先にはアザラシが横たわっていた。浅瀬に岩場があるなと思ってよく見たらアザラシだったのでさすがに声が出た。ずっと背を向けていたのでアザラシかトドかは判別できないが、背中に斑点のようなものが見えたのでゴマフアザラシなのではないかと思う。

稚内を中心に宗谷地方を広範囲で車移動したが、高台の方などには意外と住宅が密集していて、ここに暮らす人はどうしてこの地に家を建てようと思ったのだろう…と思いを巡らせた。それを考えるには開拓が始まる前からアイヌの人々が暮らしていた歴史から遡る必要があるが、単純にこんな寒いところにどうして…という疑問はある。逆に北海道の人からしたら東京に暮らす人々に対して、こんな狭くて家賃が高いところにどうして…と思うのかもしれない。

その点、動物の方がそこに生息する理由は明快だなと思う。環境が適していて、食べるものがある。人間もそれくらいシンプルに住む場所を選べたら良いのにな〜

今回はあまり話したことのない人たちとの出張だったので少し不安だったけど、行ってみたら全然平気だった。結局どこへ行っても私は私なのだと思う。

 

イルカのモニュメント大好き!

 

10月は友達のちえちえが遊びに来てくれました。一泊二日の弾丸ツアーだったけど、山の展望台やニセコの牧場など、行きたいところは概ねまわれた。ずっと喋っててずっと楽しかった。北海道にいると距離感がだいぶバグるけど、車さえあれば大体どこへでも行ける。

ちえちえのリクエストでサカナクション山口一郎さんの両親が営む木彫工房「メリーゴーランド」を訪れた。坂の上にある白い三角屋根の家。

窓は海 風の街

でも明日が見えなくて

坂の上 白い家

でも明日が見えなくて

(『ライトダンス』サカナクション

 

入口の前で写真を撮っていると中から山口さんのお母さんが出てきて、開口一番に「女子?!」と聞かれて笑った。

まさに昨日も、近所の銭湯に行って女湯の暖簾をくぐろうとしたら、番頭のおばちゃんに「違う、(男湯は)こっちこっち!」と止められたのだった。「女性です…」と言うとおばちゃんはすごく慌てておられて、むしろこちらが申し訳なくなった(帰り際も「さっきは本当にごめんなさいね」と謝らせてしまった)。

髪が短くメンズライクな服装をしていると男性と間違われることがしばしばある。別にそれで怒ったり悲しい気持ちになったりすることはない。アンケートでも「男性・女性・回答しない」があれば「回答しない」を選ぶ。ノンバイナリーの表明にあたるほどの強い主張はなくて、ただ選択肢に「回答しない」があればそれを選ぶ程度の感覚である。

これを機に髪を伸ばしてみようかなとも思う。「女性らしさ」に屈するわけではなく、自分にとってはそれくらいどっちでもいいことなのだ。

話が逸れまくったのでサカナクションの好きな曲を発表するか…

  • 夜の東側
  • 新しい世界
  • ナイトフィッシングイズグッド
  • エンドレス
  • 蓮の花

 

発光するソフトクリーム

夜は食べ飲み放題でジンギスカンをたらふく食べて、散歩して、私の家に泊まった。先月友達が遊びに来たときに合わせて購入した来客用の布団を敷く。今まで人が泊まりに来るとベッドの端の壁際ギリギリで寝て、翌朝身体が痛かったのでこれは本当に買って良かった。

生ラムジンギスカン

 

翌々週には母と兄がやって来た。悪天候で飛行機の出発が遅れ、自分たちより遅い時間のはずのJALANAが次々飛んでいく中、定刻から4時間半遅れでようやくフライトできたらしい。すっかり疲労困憊で到着した母と兄は「ピーチは二度と使わない」と言っていた。本当にそう。LCCの中でもピーチは断トツで悪い印象がある。時は金なり、タイムイズマネー。

朝里川温泉ニセコ昆布温泉にそれぞれ一泊した。いつもよりちょっと奮発した甲斐あって、どちらもとても良い宿だった。美味しいごはんを食べながら、父と行った家族旅行の話になった。最後に行ったのは2020年宮城の秋保温泉で、食にうるさい父が珍しくうまいうまいと言いながらバイキングをたくさんとってきた。父は秋保大滝の目の前でも煙草を吸っていて、私たちはこんなにマイナスイオンのあふれるところで煙草をふかす奴がいるかよと呆れて笑ったのだった。今思うと長年の喫煙が肺を蝕んでいたのだから、あまり笑えないのかもしれない。
墓に納骨する分から少し取っておいた骨を北海道の海にも散骨した。特にゆかりのある海があったわけではないのだけれど、兄が「積丹ブルーの海が良いのではないか」と調べてくれて神威岬まで車を走らせた。到着してみると風が強く、思っていた以上に断崖絶壁だったので、これでは海にたどり着く前に風で吹き飛んでしまう…と、別の海岸から撒くことにした。丸い石ころの海岸は足場が悪く、打ち寄せる波を避けようとした母が尻もちをついて転び、お尻も靴下も濡らしていた。波打ち際ではしゃぐ中年3人組。看板も何もない、名前のない海だったので、忘れないようにGoogleマップにピンをさした。


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観光地へ行くと人混みや行列が嫌いだった父はすぐ山形弁で「あべは、あべは(訳:もう行こう)」と言い、一人でどこかへ行ってしまうことを思い出した。そんな父の機嫌に振り回されて母はいつも愚痴を言っていたが、今回の旅行で温泉に入るときも肌身離さず遺骨のペンダントをつけているのを見て、つい「銃弾みたいでかっこいい」などと言ってしまったが、心の中では愛だな…と思っていた。(銃弾みたいでかっこよかったのは事実)

北海道の市町村の数は全国でも圧倒的に多い。途中立ち寄った京極町は「水のまち」として名水が有名な場所だ。公園の売店を覗くと土産物のラインナップが水、水まんじゅう、名水珈琲ゼリー、とほぼ水関連で、水の一本槍で町をやっているなと思った。

滝ではなく湧水

北海道は未だに馴染めず、早く転勤したいとすら思っているけれど、友達や家族に美味しい店や観光スポットを案内しているときだけは、少し誇らしいような照れくさいような気持ちになる。母と兄が帰ると急に静かで寂しくなった。

 

先々月のブログの感想をGoogleフォームから送ってくれた方へ:とても気持ちの伝わるメッセージ、ありがとうございました。書いてから、自分のプライベートを書きすぎてしまった…と疲弊してしまっていたのですが、少し気持ちが軽くなって、何より直接メッセージをいただけたことがすごく嬉しかったです。「ドリアンを食べた」とあったので海外在住の方でしょうか?どうか無理せず穏やかにお過ごしください。

 

読んだ本とか漫画とか

『これが生活なのかしらん』小原晩

「これが生活なのかしらん♪」なのか「これが生活なのか知らん」なのか、どっちともつかないタイトルの通り、可愛らしさの中にそこはかとない負けん気が感じられるエッセイ。

美容室のキャッチをしていた頃の壮絶なエピソードを読みながら、もしかしたらここの美容室かな…と思い当たる店があった。大学生1年の頃に原宿で声をかけられてまんまとついて行った美容室で、私含め上京したての高校の友達が3人もそこのキャッチに引っかかっていた。

 

団地の給水塔大図鑑』小山祐之

全国の団地の給水塔を著者が10年かけて撮り集めた、オールカラーで見応えがある図鑑。全国各地で見られる給水塔だが、北海道と東北には4基しかないことを知った。こっちで散歩しているときに「給水塔だ…」と思っていた塔は給水塔ではなくて、調べたら熱供給公社というところの煙突(?)らしかった。東京の板橋区にも大きな塔があるが、あれは清掃工場の煙突だそうだ。

 

『タイムフリーで待ちあわせ』muda/硬水

mudaさん(id:muda-muda)と硬水さんによる往復書簡。ラジオの「相談コーナー」について、一方通行ではない、人の「会話」が好きだからお悩み相談が苦手だという硬水さんと、好きでも苦手でもないけれど、テンポよく消化されていく感じは得意ではないというmudaさんの傾向の違いが面白かった。すぐにレスポンスのある対話ではなく往復書簡だからこそ、話題を深く掘り下げられるのかもしれないと思った。実は私も前から相談コーナーが苦手で、それはまた別の理由がある。

巻末に「好きなタイトル10選」「『住めば都、ミスタータイヤマンの2人』のコーナーニッポン放送『ヨネダ2000のオールナイトニッポンX』2023.9.13放送)」の企画があった。私は『タイムフリーで待ちあわせ』もかなり声に出して読みたい好きなタイトルです。

 

『いやはや熱海くん(2)』田沼朝

今一番新刊を待ち望んでいる漫画。なんとなく苦手だな〜と思っていた人に対して少しずつ興味を持っていく過程を、台詞や説明ではなく静かに丁寧に、それでいてフラットに描いていてとても良かった。

 

見たNetflixドラマとか

『離婚しようよ』脚本:宮藤官九郎大石静

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やっぱりクドカン脚本ドラマ大好きだな〜愛媛から出馬する選挙のあたりが面白かった。『木更津キャッツアイ』や『あまちゃん』もそうだけど、クドカンのドラマはその地方独特の風土や温度感を描くのが上手いなあと思う。

 

サンクチュアリ』監督:江口カン/脚本:金沢知樹

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闘争心に火がついてからの盛り上がりがとても良かった。結局日々のトレーニングが一番大事なんだよなあ!って話。映画『百円の恋』にもある場面をきっかけにエンジンかかって一直線に走り出すという転換がある。こういうシーンだけ集めたハイライトが見たい。

 

聞いてた音楽とか

『LEAP HIGH!〜明⽇へ、めいっぱい〜』

この曲自体の感想→変な歌〜

PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLSは明確に「推し」という存在を固定せず見ているのですが、特に応援している佐々木心菜さんのチッケムを貼っておきます。X(旧Twitter)にデフォルトでおすすめが表示されるようになってからサバイバル番組を純粋に楽しめなくなってきている。国プ大手垢(国プ大手垢?)による無責任なジャッジメントが見ていてしんどい。夢に挑戦する練習生は全員素晴らしいよ…予告のサムネ時点で仲宗根梨乃さんを批判していた人は全員ミュートしました。

 

今期ドラマは『時をかけるな、恋人たち』『コタツがない家』『いちばんすきな花』『ゆりあ先生の赤い糸』『下剋上球児』などを見ています。

『いちばんすきな花』はなんとなくずっと小賢しいな〜と思いながら見ていて、そろそろこの脚本家が苦手なのかも…と思い始めているのだけど、狭いところでいうと「潮ゆくえ」「椿春木」「深雪夜々」といった登場人物たちの名前が仰々しいところに違和感を感じる。名前に意味を持たせすぎというか、作者のエゴがちらつく感じがして内容があまり入ってこない。

 

【告知】

ネットプリント誌『SLEEP TIMES #02』をコンビニのマルチコピー機で配信中です。「元気がないときにすること」特集、ちえちえと収録したラジオ音源などを載せています。

(配信期限は2023年11月12日23:59まで)

 

暇つぶしに出力いただければ幸いです。コンビニ行くついでに、最近飲んで美味しかったビールは「ヱビス オランジェ」です。