2016年のクリスマス、香港ひとり旅に行ってきた。
私が旅に出る理由はだいたい百個くらいあって、ひとつめはここじゃどうも息も詰まりそうになった。ってこれ、くるりの『ハイウェイ』なんだけど、理由は概ねそんな感じで、私には人生に行き詰まると一人でどこかへ行ってしまいたくなるという少々厄介な傾向があって、海外ひとり旅は短期集中型で気分をリフレッシュするためのスイッチというかトリガーというか、要するに現実逃避の一環という位置付けにあるものなんだ思う。こういう話を友達にすると「急にメンヘラ化すんのやめて」って言われるんだけど、そうじゃなくて、慢性的にメンヘラ化しないためにも不定期的に海外ひとり旅を組み込んでいく必要があるわけで、たかが2泊や3泊海外に行ったからといって人生観が変わったり、帰ってきてからの生活が劇的に好転するわけではないということは重々承知なんだけど、一度思い立ってしまったら実行せずにはいられないというね、何の話。クリスマスに香港ひとり旅してきた話。
長くなりそうなのと写真をたくさん載せたいので
- 基礎情報・グルメ編
- 街歩き編
- 重慶大厦編
の3つに分けます。
2014年のクリスマスもひとりで台湾へ行っていて、それがすごく楽しかったので今回も行ってしまえばなんとかなるという気持ちがあったし、予約が完了した時点で鬱蒼とした気持ちの8割は吹き飛んでしまったようなところがある。
香港を選んだ理由
まずアジアであること、なるべく近くて安く収まりそうなところに行きたかった。香港は治安もすごく良い。あとは香港のネオンを見てみたいと思った。FF7のウォールマーケットとか、映画『パシフィック・リム』の中で描かれる夜の香港がすごく好きで、前から香港にはいつか行ってみたいと思っていた。職場の人に「なんでまた香港?」と聞かれたので「クリスマス感のないところに行きたくて」と答えたら、「香港はイギリス領時代が長いからクリスマスは日本より盛大かもよ」と言われて死亡した。
2016年12月24日の香港
盛大にクリスマスだった
旅行にかかった費用
航空券(成田-香港間 往復):24,060円
宿泊費(2泊):13,780円
その他保険代等合わせて計40,170円
予約した時期は10月末。現地で使ったお金は日本円で13,000円。現地に着いて財布に入っていた現金がその額だったのでとりあえずある分だけ両替した。両替の話は重慶大厦編で詳しく書く。あとは地図つきの小さめのガイドブックを1冊買った。「旅行は準備しているときが一番楽しい」という人がいるけれど、私は「旅行は現地に着いてからが一番楽しい」人なので、ギリギリまで荷造りとかできなくて、旅行プランも行きの飛行機の中で考えた。
香港の基礎データ
地理
香港は大きく分けて香港島、九龍半島、新界の3つのエリアがあって、今回訪れたのは香港島と九龍半島エリア。ビクトリア港を挟んで南側が香港島で、北側が九龍半島。マップ描いてみたんだけどこれは縮尺も方角も全然合ってない。香港島の方がイギリス領時代が長いから、英国風の文化が浸透していて街並みもスタイリッシュな感じ。九龍半島はどちらかというとアジアっぽさが強くて、街全体がエネルギッシュな感じ。どちらのエリアも建物が密集していて全体的にごちゃごちゃしている。香港島~九龍半島間はフェリーと地下鉄が走っているから移動は便利。
気候
香港の気候は日本より温暖で湿度が高い。12月の平均気温は東京の10月並の気温で、コートなどを羽織らなくてもパーカー1枚あれば十分という感じだった。
物価
香港はとにかく物価が高い。経済に疎いから現地に着くまで知らなかった。ホテル代は特に高くて、独房レベルの重慶大厦ですら年末の繁忙期には1泊7,000円弱。普通のホテルに泊まりたいなら最低でも15,000円は出さないと話にならないっぽい。レートは1HK$=14~15円で、日用雑貨とか化粧品とか服飾品は日本よりちょっと安いかなってくらい。交通費は安い。八達通(オクトパスカード)というSuica的なICカードを買っておけばMTRもトラムもコンビニもタッチで支払いが済むから、いちいち小銭を出してどれが何円だっけ、みたいな手間が省けて便利。
グルメ
食事代はピンキリだけど美味しいものを食べたかったらそれなりにお金払わないといけなくて、安い店は普通に美味しくない。庶民的な食堂でラーメン的な何か頼んだら出前一丁の麺出てきた。
香港の茶餐廳と呼ばれる喫茶レストランでは具入りのインスタントラーメンも食べられ、オプションで出前一丁を指定することができる場合が多い。その場合は割増料金がかかる。
マジかよ香港。
香港で美味しかったのは満記甜品(Honeymoon Dessert) のマンゴーパンケーキ
パンケーキっていってるけど生クリームとマンゴーを包んだクレープみたいなデザートで、2つセットで17HK$(約255円)。ドリアンパンケーキというのもあって、ドリアン食べたことないからちょっと気になったんだけど、ひとり旅のつらいところはこういうとき料理をシェアできないできないところだよな~と思った。
バターの香りが漂う店頭に並ぶエッグタルト
出来立てはあつあつで生地がサクサクでめっちゃ美味しい。市街地だと7HK$くらいするけど郊外の市場だと3HK$(約45円)とかで売ってて最高。
これは菠蘿飽(パイナップルパン)に卵をサンドしたやつ
パイナップルパンは日本のメロンパンみたいな感じで、見た目が黄色くて表面がパイナップルに似てるからそういう名前がついただけのパン。香港のガイドブックには必ず載っている食べ物だけど、特別美味しいわけでもないからマストではないと思う。
後ろに写っているのは檸檬可樂で、コップの中に輪切りのレモンがこれでもかってほど入っていて、そこにコーラを注いで飲む。スッキリしていて美味しい。
香港で「餅店」というとパン屋さんのことを指すっぽくて、「餅家」が確かケーキ屋さんだったと思う。餅は餅屋じゃないのかよって感じ。
お粥
ここのお店は有名店らしくて後日乃木坂46のスイカの人たちも行ってた。
朝からとても繁盛していて、知らない人たちと相席して食べた。量が多いので食べ終えるのにめっちゃ時間かかった。揚げ麩みたいなやつを浸して食べるのが香港スタイルなんだけど流石に食べきれなくて残してしまった。日本でお粥というと味がしなくて風邪ひいたときくらいしか食べない粗食って感じだけど、香港のお粥はすごく濃厚で具もたくさん入っていて美味しい。朝食におすすめ。
牛雜。モツ煮みたいなやつでめっちゃ量ある。
香港とか台湾の料理には「五香」という独特のにおいがするスパイスが使われることが多くて、これもそのにおいがした。苦手な人は苦手かも。
タピオカそんな好きじゃないけどアジア圏きたら飲んじゃう。これも量やばい。
そもそもミルクティー自体あまり好きじゃないんだけど、香港のミルクティーは濃いめに淹れられていて深みがあって好き。鴛鴦茶(えんようちゃ)というのはミルクティーにコーヒーを混ぜたもので、これはさらに苦味とコクがあって美味しい。
ミルクティーといえば香港島エリアで入った華星冰室(Capital Café)というカフェでランチセットを頼んだんだけどミルクティーとマカロニスープ(カルボナーラをお湯で溶いたみたいな味)だけ来てハムエッグトーストが忘れられてたからお店の人に適当な英語で伝えたらもう一回マカロニスープが来て「え…」みたいな顔してたらそれを見てた相席の地元民がお店の人に「これじゃなくてトーストが来てない」みたいなこと言ってくれたんだけどお店の人次々に3人来て「は!」「知らん!」「終了!!!」みたいなこと言われてマカロニスープも取り上げられて終わった。句読点なしの長文で何が何だかな感じだけど、相席の家族連れにも哀れみの目で見られ、(あ、なんかすみません…)という後ろめたい気持ちから、帰るときなんとなく会釈して席をあとにした。香港で一番心折れかけたエピソードがこれ。カフェと謳ってる割に店内は食堂みたいな雑多な感じで、厨房も中華料理屋みたいに怒涛の勢いで鍋をふるっていた。ちなみに香港の公用語は広東語で、ローカルなお店とか行くと英語が通じない。
香港の人は基本的にそっけなくてせっかちだけど、悪い人ではない。みたいな人が多い印象。
街歩き編につづく