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クリスマスに香港ひとり旅してきた話 重慶大厦編

香港の「重慶大厦」に泊まってきたって話なんだけど、やばいところらしいんだ、重慶大厦って。

 

私は現地に着くまで知らなくて、重慶大厦がどういうところかも、自分が重慶大厦に泊まることになるということも

 

ホテルを予約するときはトリップアドバイザーを使った。香港は物価が高いと前に書いたけど、中でも衣食住の「住」にかかるお金は群を抜いていて、狭い団地に人が密集して住むのも多分そのせいなんだろうけど、ホテルも同様にどこを見ても高かった。

「CANADA HOTEL」は、写真を見る限りでは清潔感があり、口コミもそこそこ良くて、なにより尖沙咀(Tsim Sha Tsui)の駅から近く立地がとても良かったので予約した。カナダホテルが重慶大厦に入っているホテルだということはちょっと調べればわかることだし、重慶大厦がどういうところなのかということも事前に知っておくことができたのだと思うけど、なぜかその頃は予約したことで満足してしまっていて、だから本当に、現地に着いてはじめて、あ、ここはやべぇぞ…って。

 

いざ重慶大厦へ

入口

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本来は1961年に完成した、個人住宅を主な目的とする16階建ておよび17階建のビルの5棟の総称であるが、現在、観光客が集まる繁華街の一等地にありながら、数多くの安宿が密集しているビルとして有名で、世界中のバックパッカーにその名が知れ渡っている。

また、両替商・カレー店・アフリカ料理店・南アジア等の民族衣装店やCD店、紳士服の仕立て屋、雑貨店の多さでも知られており、これらの店を目的に訪れる観光客も少なくなく、また、南アジア・中東アフリカなどの出身者のコミュニティができている場所でもある。そのため、香港の複雑な民族構成を象徴する建物として、数多くの映画や小説の舞台となっている。

 -Wikipedia

 

中へ入ると両替商が右から左から現れて客引きの洗礼を受けることになるが全無視して良い。下手に英語で相手するより「要らん」とか「知らん」と言っとけば向こうもそんなにしつこく勧誘してこない。「面倒くさいときは日本語対応」というトラベルハック。

 

重慶大厦はA座~E座のブロックに分かれていて、カナダホテルがあるのはA座。15階まではエレベーターで上がります。 

重慶大厦

各ブロックにエレベ―ターが2台ずつあって、左が偶数階専用、右が奇数階専用になっている。防犯カメラが付いていてエレベーター内の映像は1階のモニターに映し出される。一応1階にはエレベーターガールというか、エレベーターのおっさんがいてエレベーターを操作している。と言ってもおっさんは「▲」ボタンを押しているだけなので、おっさんがそこにいる意義はよくわからない。夜は混んでいてエレベーターに乗るのに30分くらい並んだ。基本的に知らない外国人との相乗りなので、その時点で無理な人にはもう無理だと思う。

 

A座に入ってるゲストハウス。大体1フロアに3つ~5つくらいホテルが入ってる。 

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重慶大厦で見た人のほとんどはインド系とか東南アジアとか中東系?あとはアフリカ系で、欧米っぽい人はいなかったし、中国・韓国・台湾あたりの顔もあまり見なかった。大学生くらいの男性2人組が「もうさ、めんどくさいから」と言いながらキャリーケースを引いていくのを見たが、日本人とすれ違ったのはその1回だけだった。

 

チェックイン

15階に着いたらカナダホテルのインターホンを鳴らし扉を開けてもらう。中に入ると一応カウンターみたいな台があってそこでチェックインした。

 

フロント(仮)のすぐ脇の窓から撮った一枚

重慶大厦

干してあるのはベッドシーツ。自由だ。 

フロントで対応してくれたのはパトリック・チャンみたいな顔立ちの親切な人だったけど、「泊まる部屋はここじゃなくて下の階なんだ」的なことを説明された。実際行ったら違うところに案内されるやつ!安宿あるあるだ!と思いながらエレベーターを待つ。エレベーターはなかなか来ない。これは重慶大厦あるある。待ってる間パトリック・チャンは「どこから来たの?」「東京?は行ったことないな。」「ソウルならあるよ。すごく寒い。」みたいな話をしてくれた。

 

ちなみに階段もあるけどこんな感じ

重慶大厦

過去に何度か火事があったらしいんだけど、エレベーターは遅いし建物の構造は複雑だし防火扉とかちゃんとしてんのか?って感じで、火事があったら確実に死ぬな。って思った。まあリッツカールトンだろうがペニンシュラだろうがシェラトンだろうが、人間死ぬときは死ぬんですよ。

 

という感じで通されたのが7階のこちら

重慶大厦

これ廊下なんだけど、思ったよりきれいじゃない???なんかちゃっかりクリスマス仕様だし

 

これが部屋

重慶大厦

独房

 

部屋は狭く、トイレとシャワーのスペース合わせてもトータルで3畳いかないくらい。

まずこの診察台みたいなのがベッド。で、その上にバスタオルとトイレットペーパーと歯ブラシが乗ってる。これどういうことかというと、シャワーがトイレの上に取り付けられててシャワー使うとトイレ全体が水浸しになっちゃうから、それでトイレットペーパーは最初から避難させてある。

一応窓があって、エアコンがあって(温度や風量の調節はできなくてずっと寒い)、扇風機があって、テレビもある。そしてWi-Fiがある!海外でWi-Fiは本当にありがたい!コンセントもあるけどBFタイプで日本のと規格が違うので変換器が必要。そこは事前に調べてたから助かった。あと基本的にバスタブがなくてシャワーだけの部屋に泊まるときはサンダル持ってった方がいい。これも準備してたから大丈夫だった。

 

荷物下ろして早速Wi-Fiに繋いで「重慶大厦」で検索すると、上位に出てくる「悪の巣窟」「悪の戦慄迷宮」「犯罪の温床」「上級者向け」「エボラ」といったワードに、やっぱりやべぇところに来てしまったようだ…ということを改めて実感する。

ただいろんなサイトにまとめられている情報すべてが正しいわけではなく、記事を面白くするために煽ってるんだろうなという表現も見受けられたりして、 実際泊まってみたらそこまで恐ろしい場所ではなかった気がする。1階で両替しただけで泊まってもないのに「あの重慶大厦に潜入!」とか書いてる人もいて、なんだよ、ただのビビりじゃん。とか思ったりして。こちとら女一人で2泊すんだぞっていう。よく調べなかった私のミスなんだけど。

ちなみに映画『恋する惑星』では、重慶大厦の仕立て屋で服の肩パッドや靴の底にクスリを隠して密売の用意をするシーンが描かれている。

 

これは帰ってきてから読んだ記事なんだけど、この特集が詳しくて面白かった。

  

両替のレートが良い

さっき書いたように重慶大厦の1階には両替所が何軒もあって、ここのレートは香港で一番良いらしい。入口正面の両脇の2店舗はぼったくりなので、奥の方に行って表を見比べながら一番レートが良いところで両替します。

重慶大厦両替所

私が利用したのは「Western Union」という黄色い看板の両替所。 JPY0.0661と表記してあるので、1万円が661HK$になる。パスポートの提示も書類の記入も不要で、日本円を渡せばすぐに香港ドルに換金してくれる。ちなみに最初に香港の空港で尖沙咀までの電車賃を両替したときのレートはJPY0.0586だったので、1万円両替した場合、重慶大厦の両替所を利用した方が75HK$(約1,132円)お得!ということになる(2016年12月時点)。

 

 

重慶大厦のオアシス「咖喱王」

重慶大厦にはインド系の人が多いため美味しいカレー屋さんが入っているという情報をインターネットから得た私は、その中でも特に美味しいと評判の「咖喱王」という店に目星をつけ、店があるE座に向かうことにした。E座は私が宿泊したA座よりもさらに奥の方にあるらしく、例のごとく客引きを無視しながら奥へと進んで行った。A座、B座、C座と、奥に行けば行くほどディープな雰囲気が増してくる。このまま進めばE座にたどり着けるかと思っていたのだが、C座を過ぎたところで行き止まりになってしまった。通用口が開いていたので、この先にD座とE座があるのかもしれないと思い、さらに奥へと足を進めた。

通用口の先に広がっていたのは、外だった。明るくて人と物が溢れ、混沌とした重慶大厦の雰囲気とは打って変わって、外は暗く、静かで、ブラックボックスのような空間だった。

この時点で引き返せばよかったものを、私はさらにその奥にある路地まで進んでいった。それで路地の方、一瞬覗いたら、なんか明らかにやばそうな人たちが3人くらいまばらに立ってて、ここはやばいぞ……って。空気で察した。やばそうな人たちは各々タバコ吸ってたり、スマホいじってたり、ただ壁にもたれかかったりしてたんだけど、私が覗いたら全員一斉にこっち見てきて、あれ何だったんだろうって考えたんだけど、多分あれは何らかの取引場所だったんだと思う。何かはわからないけど何らかの。

で、やべぇやべぇやべぇっつって引き返して、重慶大厦内ぐるぐるしてなんとかE座にたどり着くことができた。どうやら重慶大厦入って正面左手側にA~C座があって、右手側にD,E座がある構造らしい。路地裏を体験してしまったから、重慶大厦の喧噪の中にいる方が逆に落ち着くわ~。みたいな感覚に陥る。

 

E座のエレベーターを上がってたどり着いた「咖喱王」

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ここのカレーほんと~~~~に美味しかったな~~~~。辛くてスパイシーで濃厚で。しかもさ、ここの店員さんが歌丸師匠みたいなアジア系のおじいちゃんだったんだけど、メニュー見てたら日本語で「ごはん!(こっちが)ナン!」って指さして説明してくれて、すごい優しくて涙出るかと思った。店内も賑わっていて、みんな家族連れで、一人で来てる客は私だけだったんだけど、でもみんなわいわい食事してて、なんかここすごく居心地良いな~~って思った。歌丸師匠もちょいちょい「おいしい?」とか「water?水?」とか話かけてくれて、大袈裟じゃなくここは重慶大厦のオアシスだって思った。

会計時にVIPカード作って、無料で作れたんだけどその場で20%引きにしてもらえた。香港にまた来ることがあったらこのVIPカード持って咖喱王に行きたいな。

 

 

お湯が出ない

お腹を満たして部屋に戻り、あとはシャワー浴びて寝るだけだ!というところだったんだけど、シャワーの蛇口をひねっていつまでたってもお湯が出ない。水しか出ない。どうしようかと思ったけど一回服着てフロントまで行くのも面倒だなとか思って、そのまま水を浴びた。2016年12月24日、クリスマスイブの夜のことである。

次の日は学習して、シャワーを浴びる前にフロントに行くことにした。フロントから出てきたのは昨日のパトリック・チャンではなく、インド系?ブラジル系?のスキンヘッドでちょっと強面で不愛想な感じの人で、24時くらいに訪ねたから完全にオフモードでパーカーにサンダルといういでたちだった。パーカーの男にお湯が出ないことを説明すると、「部屋の壁にスイッチがあるからそれをONにするんだよ」的なことを教えられ、「壁?入って右?左?どのへん?」みたいなこと聞いたら、呆れながら「let me show you」って言ってくれて、部屋まで来てくれることになった。エレベーターを待ってる間もパーカーの男は一言もしゃべらず、パーカーの前ポケットに手を突っ込んで立っていた。昨日のパトリック・チャンとキャラクターが違い過ぎて、ぺりことぺりみ(どうぶつの森)かよ…って思ってちょっと面白かった。

今になって考えると、ホテルの従業員とはいえ他人を安易に部屋に通すのはどうかと思うけど、とにかくお湯が出て欲しい一心でパーカーの男を部屋に入れ、壁のスイッチの場所を教えてもらった。なんだかんだ良いやつだったパーカーの男に「これがスイッチだから、オレンジになったらお湯が出る」みたいなことを教えてもらい、お礼を言い、これで今日はお湯が出る!と思ってシャワーを浴びたが、またしてもお湯は出なかった。オレンジのランプが点いているからボイラーは動いてるはずなんだけど、いつまでたってもお湯は出なかった。結局この日も水を浴びた。2016年12月25日、クリスマスの夜のことである。

 

 

 

重慶大厦に泊まることになったのは私のミスから始まったことなんだけど、結果的に重慶大厦に泊まったこと自体が香港ひとり旅のメインになってしまうくらい、ディープで鮮烈な体験を味わえて、とにかくすごく面白かった。日常生活のいろいろがどうでもよくなってしまうくらい刺激的な世界で、だって、「クリスマスに重慶大厦に泊まって水浴びる」ってド底辺じゃないですか、これより下ってなかなか更新できないでしょって。なんかもう、怖いものは何もないなって感じで、最強になれた気がした。実際たいした経験してないんだけど。

 

帰国すると、香港に行っていた間に同期が電撃結婚報告をしたらしく、他の同期たちから「ちょっとどうなってんの?」「仲良いから知ってたでしょ?」みたいなLINEがたくさん届いてて成田空港でめっちゃ笑った。私も何も知りません。香港の余韻を味わうことなく一気に現実に引き戻されたけど、これが日常だ。とも思った。

2泊や3泊海外に行ったところで何も変わらない。それはそうなんだけど、やっぱり香港すごく面白かったし、また行きたい。そのときはもっとお金ためて良いホテルに泊まりたい。重慶大厦に両替だけしに行って、ここ泊まったな~懐かしいな~とか思ったりしたい。で、そのお金でマカオ行って豪遊したい。おわり

 

 

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